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矯正装置トピックス

ムーシールド:乳歯列期の矯正治療について

文責:布袋裕美

1)何人位の方が受け口になるのでしょうか?

反対咬合の発生率は、約5%弱と言われております。そのため、年間出生数110万人から計算すると、同学年の5万人の方が受け口と言うことになり、毎年あらたに5万人程度のお子さんが受け口に悩んでいることになります。

2)「様子を見ましょう」で良いのでしょうか?

その受け口への矯正治療的アプローチですが、どのように考えれば良いのでしょうか? これも、医院によって各種の意見が伝わってきます。

  1. 「様子を見ましょう」
  2. 上下顎の前歯が生え替わってからの治療で十分。
  3. 乳歯列であっても早期治療が望ましい

1番の「様子を見ましょう」はちょっと注意が必要です。これは、反対咬合の矯正治療に対する見通しと治療の裏付けがあっての「様子を見ましょう」は、あり得ることだと思います。問題なのは、「治療の方法がよくわからない、どうしていいか分からない」という漠然とした感覚で様子を見る場合です。様子を見る場合は、その理由をしっかり確認することが必要だと思います。

2番の「生え替わってからの治療で十分である」ですが、これには、受け口の何割かは「自然に治る」ということと関係していると思います。データは諸説ありますが、3割~1割程度の受け口は、上下顎の前歯が生え替わる時期に自然治癒いたします。その為、程度の緩い受け口なら、不要な治療を避けるためにも、前歯の生え替わりを待つのは適切と言えます。

ただし、反対にいえば、7割以上の受け口は自然治癒しないまま、放置することになります。反対咬合の前歯の逆転したかみ合わせを放置することにより、上顎は成長を抑制され、下顎は成長をコトロールする上顎前歯が機能しないため下顎の成長が過度に促進されます。そのため、いわゆる「三日月的な顔立ち」が加速されることになります。

また、「乳歯列期の矯正治療が、永久歯列期における正常な咬合を保証するものではない」という点も重要です。平易に言い換えますと、「乳歯列で矯正治療を受けても、前歯が生え替わる時に、また、受け口になる可能性がある」ということです そのため、乳歯列に受け口の矯正治療を開始するかどうかは、「自然治癒の可能性」、「再発の可能性」、「放置することのリスク」に、ご両親の考え方とあわせて、主治医との十分な打ち合わせが必要と考えております。

3番の「早期治療が望ましい」ケースについてご説明します。簡単に言いますと「自然治癒が難しいそう」「乳歯列期で治りそう」なケースが適応かと思います。 それを理解いただけるよう、乳歯列での「受け口の程度」について見ていただきます。ご家庭での受け口の鑑別診断にも有用かと思います。

  • A下顎の6前歯が受け口な場合A下顎の6前歯が受け口な場合
  • B下顎の前歯が受け口な場合B下顎の前歯が受け口な場合

Aの様に、かみ合わせが深く、下顎6前歯が受け口になっている場合は、骨格的な受け口で、今後の全身成長に伴う悪化も考えられます。そのた、本格的な矯正治療が必要で乳歯列期だけの治療では難しいことが多いと考えます。
Bの様な場合で、かみ合わせは深いですが下顎4前歯のみ受け口である場合は、比較的軽い受け口と言えます。そのような場合は乳歯列期での矯正治療の適応と考えております。

3)実際の装置

以前、受け口の矯正治療は、上下顎前歯の生え替わる7~8歳頃からの開始が一般的でした。その理由の一つに、小さいお子さんに使用する簡易な矯正装置が無かったことがあげられます。

現在は、「ムーシールド」(日本大学歯学部小児歯科講座兼任講師 柳沢 宗光先生考案)という矯正装置の登場により
、3歳以上で、装置を装着が可能なお子さんであれば、矯正治療を受けていただくことが可能です。

実際の「ムーシールド」は、写真のようにマウスピース型の矯正装置で、夜間就寝時に装着していただきます。装置は既製品を使用して調整しますが、小さいお子さんなどで、装置があわない場合は、個人用に作製いたします。

また、当院では、「ムーシールド」の補助装置として、同じく就寝時にチンキャップを使用して、治療効果を高めております。

  • 実際のムーシールド実際のムーシールド
  • ムーシールド装着時ムーシールド装着時
  • チンキャップチンキャップ

実際に「ムーシールド」で治療受けていただいた例です。

  • 初診時口腔内写真初診時口腔内写真
  • 約一年後の口腔内写真約一年後の口腔内写真

4)長所欠点まとめ

長所

  • 4~5歳から始めることができます。
  • はめ外し式の装置で、痛みが少ない装置です。
  • 取り外しが可能なので、歯磨きに支障がありません。
  • 夜眠っている時・テレビを見ている時などに使用する装置で、お子さまに対しての負担が少なくすみます。
  • 通常の矯正治療に比べると期間が短くてすむ場合もあります(通常1年以内)。

短所

  • 骨格性の不正咬合などムーシールドが適応にならないことがあります。
  • 年齢によっては装置を使っていただくことが難しいことがあります。
  • ムーシールドによる治療で受け口を治した後に、成長途中で戻る可能性があります。

以上の長所欠点を踏まえて、乳歯列期の矯正治療を開始するかどうかについて相談させていただきます。そのため、前歯の生え替わりまで様子を見ることをおすすめする場合もでてきます。その点につきましては、来院時にかみ合わせの状態に応じて、詳しくお話させていただきたいと思います。

5)料金

乳歯列期で「ムーシールド」による矯正治療
基本料金150.000円(税抜) (別途、初診料2000円(税抜)、調節料3000円~5000円(税抜)が必要)

ムーシールドでの治療後であっても成長により受け口が再発する場合があります。その様な場合には、料金を二重にいただくのではなく、乳歯列期の矯正治療後に「前期治療」に移行の場合は、「前期治療基本料金」から「乳歯列期の矯正治療費」をお引きしております。

例 前期治療:基本料金360.000円(税抜)に移行の場合は、360.000円-150.000円と計算し210.000円(税抜)といたします。


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