可撤式装置

患者さん自身で取り外し可能な装置を可撤式装置と言います。よく耳にする「床装置」もこれに分類されます。この種類の装置に共通な特徴として、虫歯のリスクも無く、手軽に開始することができます。その反面、装着時間が少ないと十分な治療結果を得ることができず不十分な治療結果となる場合があります。

床装置(拡大床、アクティブプレートなど)

  • 一般的な拡大床

  • スプリングなどを組み込んだ床装置

目的
顎の拡大を目的に使用するのがケース多いですが、簡単な歯の傾斜移動などにも使用されます。
中央に埋め込まれた拡大ネジにより、側方へ拡大されます。比較的にゆっくりと拡大する場合に利用します。
使用方法
拡大ネジを定期的(1週間に1度程度)にお家で回して頂きます。それにより、装置が横方向に拡がります。
一般的には、1日に18時間以上装着します。食事、歯磨きの時は外してください。
コメント
写真1・2ともに、一般的な床装置を載せております。 主に成長期の子供に使用しますが、成人でも、エッジワイズ装置装着時に、拡大の補助として使用することがあります。装着時間を守っていないのに、ネジを回すと、不適合の原因となりますのでご注意ください。
取り外しが可能なため、虫歯などの可能性が無く、簡単で利便性が高い反面、装着時間が少なかったり、紛失などが重なると、戻ってしまったり、治療が滞ることもあります。また、この装置だけで、治療を終了することは難しく、多くの効果は期待できません。

咬合挙上床(ジャンピングプレート)

咬合挙上床(ジャンピングプレート)

目的
噛み合わせの深い上顎前突や過蓋咬合の治療に使用されます。
この装置を使用時には、大臼歯が全く噛み合わなくなるため、噛み合おうと、大臼歯が自然と伸び出てきます。その結果、深い噛み合わせが矯正されます。
使用方法
1日に18時間以上装着します。食事、歯磨きの時は外してください。
コメント
装置の前方部が斜面になって、下顎の前方誘導も目的にする咬合斜面板も同類の装置です。 主に成長期の子供に使用しますが、成人でも、エッジワイズ装置装着時に、噛み合わせの高さをコントロールする目的で、併用することがあります。歯ぎしりなどにより、装置が削れていくため、定期的に削れた部分をレジンで補う必要となる場合もあります。
取り外しが可能なため、虫歯などの可能性が無く、簡単で利便性が高い反面、装着時間が少なかったり、紛失などが重なると、戻ってしまったり、治療が滞ることもあります。

FKO:エフカーオー(フレンケル、ビムラーなど)

FKO

目的
上下顎の前後的関係を治すために使用します。主に、上顎前突の改善に用います。
上下前歯を突き合わせた位置で、顎の位置を保持することにより、顎の前後関係が正しく矯正されます。
使用方法
上下前歯を突き合わせた位置で使用しますので、上顎前突の場合、下顎を前につきだした位置で装着します。
1日に10時間以上装着します。主に夜間就寝時に使用します。
コメント
取り外し可能なことから可撤式装置に分類しておりますが、機能的矯正装置とも呼ばれており。FKO、バイオネーター、フレンケルなど同類の装置があります。 主に成長期の子供に使用します。装置の構造上、装着したままでしゃべったりしにくいため、主に、睡眠中に使用します。ただし、睡眠時間が短い場合は、夕食後にすぐに装着するなど、使用時間を増やすよう工夫してください。
取り外しが可能なため、虫歯などの可能性が無く、簡単で利便性が高い反面、装着時間が少なかったり、紛失などが重なると、戻ってしまったり、治療が滞ることもあります。

リップバンパー

リップバンパー

目的
口唇や頬からの圧力を排除し、舌圧により歯列の拡大をはかります。主に下顎の歯列の拡大に用います。
口唇の力を利用して、大臼歯を後へ移動させる目的で使用することもあります。
使用方法
大臼歯に固定したバンドの外側にはチューブがあります。そのチューブにリップバンパーの先端を差し込んで使用します。
1日に18時間以上装着します。食事、歯磨きの時は外してください。
コメント
顎の拡大効果など、主に成長期の子供に使用しますが、成人でも、歯の移動の補助の目的でエッジワイズ装置と併用する場合もあります。
口唇の内側に接触するパッド部分は、前歯より離れている必要があります。効き過ぎると、パッドが前歯歯肉に強く接触し、歯肉を損傷する恐れがありますので、常に離れているよう調節を必要とします。
器械的な力で歯列の拡大や歯の移動を行うのではないため、人によっては確実性が低い場合があります。また、長時間の使用が前提となります。
取り外しが可能なため、虫歯などの可能性が無く、簡単で利便性が高い反面、装着時間が少なかったり、紛失などが重なると、戻ってしまったり、治療が滞ることもあります。

マウスピース型矯正装置(インビザライン等)

  • インビザライン

  • インビザライン上下装着時

目的
カスタムメードの透明マウスピースを装着し、個々の歯を3次元的に動かします。
使用方法
1日あたり少なくとも20~22時間の装着が必要です。食事、歯磨きの時は外してください。
複雑な治療の場合は、約2週間ごとに新しいマウスピースに交換し治療を継続します。
コメント
名称として、インビザライン、クリアライナー、アクアライナーなどありますが、基本的にすべて同類の装置になります。また、後述の保定用エシックスとも同質の装置です。模型上で配列・調整後に作ったものが、治療用のインビザライン等となります。 ほとんど目立たないためとても魅力的な装置ですが、抜歯して治療する場合など、歯を大きく動かす場合にはあまり向いていません。
治療を始めるためには、第二大臼歯が完全に生えきっていることが条件となります。そのため小学生など、乳歯がまだ歯列内に残っている症例の患者さんは適応外となります。つまり、永久歯列が完成し安定している成人の矯正に適しています。
決められた装着時間を下回ると、歯がきちんと動かないため、治療開始時に予定していた治療期間よりも長くなってしまうことがあります。

※注1 インビザライン完成物は医療機器法対象外であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外の場合があります。
お問合せ・ご予約はお気軽に072-237-3739
初診予約はこちら