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顎関節症について

顎関節症の原因は?

文責:柴口竜也,布袋善久

それでは、顎関節症の原因は何なのでしょうか?以上の議論は、顎関節症の原因を『悪い噛み合わせ』の一つに限ったことから起こる混乱でした。実は、複数の原因が考えられており、それらの原因が組み合わさって起こる、多因子性の疾患だと考えられています。それらの原因を列挙してみます。

  1. 関節円板の転位
  2. 悪い噛み合わせ・不正咬合
  3. 食いしばり
  4. 歯ぎしり
  5. 頭頸部の筋肉の異常緊張
  6. 偏咀嚼、頬杖、うつぶせ寝などの、悪い生活習慣
  7. 精神的ストレス

これらの原因のいくつかが組み合わされ、その人の持つ顎関節の耐久力を超えた場合に顎関節症になると考えられます(右上図参照)。たとえば、正常咬合者であっても、関節円板がズレた状態で、夜中に歯ぎしりが加わると、顎関節に耐久力を超える負荷がかかり、顎関節症が生じるといった具合です。

原因①番目に関節円板の転位を挙げましたが、Ⅲ型顎関節症の病態としても関節円板の前方転位を挙げました。円板の転位は、原因の一つなのか、あるいは、顎関節症の結果なのか、議論する必要があるかもしれません。顎関節症と全く自覚のない人でも、関節円板の転位はかなりの率で認められます。そもそも円板転位は病気でないのかもしれません(《顎関節症は病気なのか?》の項参照)。

原因②番目である不正咬合に関しては、《顎関節症のリスクを軽減するために、矯正治療で考慮すべき不正咬合は?》の項を参照してください。原因③~⑥は、顎関節に対して直接的に高い負荷をかけるものです。原因⑦ですが、人はストレスを感じると、それを発散させるべく就寝時に歯ぎしりを行い、その結果、顎関節に対して間接的に高い負荷をかけます。

以上の原因それぞれについて、リスクの違いはあるはずですが、実際のところ、その高低についてよく分かっていません。ただし、歯ぎしりで生じる力は、起きている間の噛む力に比して約2~4倍もあり、また、上下の歯が接触している時間も歯ぎしりの方が長いのです。つまり、病的な歯ぎしりが顎関節症を引き起こす確率は約50~70%とされていますので、歯ぎしりが最も高いリスク因子である可能性が考えられます。

男性より女性に多いのは?

男性より女性に多いと先に述べましたが、女性の方が顎関節、アゴの骨格、咀嚼筋が弱く、耐久力も弱いからと考えると納得しやすいです。しかし、女性ホルモンの関与も指摘されるなど、正直よく分かっていません。

若い人に多いのは?

中学生から高校生にかけて発症するなど、若い人に多いのも顎関節症の特徴ですが、この時期、自身の置かれている環境が激変することが大きなストレスとなっていると思われます。学校でのこと、友人や周囲の人との関係等、悩みが大きくなるのもこの時期です。また、顎関節や口の中の環境を考えると、顆頭では、赤色骨髄から黄色骨髄へと性質を大きく変化させますし、口の中では、第二大臼歯が萌出し、子供の歯列・咬合から大人の歯列・咬合へ変化します。これらの変化は全て、ストレスに他なりません。


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