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顎関節症について

噛み合わせが悪いと顎関節症になるのか?

文責:柴口竜也,布袋善久

噛み合わせが悪いから顎関節症になったのだと思われている方が多く、私たちのような矯正歯科へ来られる患者さんも時々いらっしゃいます。更に、顎関節症予防の目的のために、歯列矯正治療を希望される方もいらっしゃいます。これらの患者さんからは、「歯並びを治すと、アゴも治りますか?」と当然のように質問されますが、果たして、「Yes」なのでしょうか。それとも「No」なのでしょうか。結論から言うと、「治ることもありますが、治らないこともあります。」ということになります。つまり、Yes/Noで答えられない問題なのです。

「噛み合わせが悪い⇔顎関節症」という図式が成り立つためには、「噛み合わせが悪い人は必ず顎関節症になる」ということと、「顎関節症になった人は皆、噛み合わせが悪い」という2つの条件が成立する必要があります。噛み合わせが悪くても、顎関節症でない人は大勢いますし、逆に、とてもキレイな歯並びで噛み合わせも申し分ないのに顎関節症になっている人も大勢いらっしゃいます。このことから考えて、「噛み合わせが悪い⇔顎関節症」という関係が成り立たないことは明らかです。しかし困ったことに、噛み合わせを治すと顎関節症も治ると短絡的に考えるドクターも多く、そのような情報がネット上に溢れています。

顎関節症は、若い女性に多いことが知られていますが、噛み合わせが悪いのは若い女性に限ったことでないのは明らかです。年がいけば、歯周病で歯を喪失したり、歯を支える組織が弱くなったりして、噛み合わせに問題が起こりますので、老人の方がむしろ噛み合わせに問題を抱えています。また、不正咬合に男女差がないのに、顎関節症には男女差があるという事実から考えても、「噛み合わせが悪くても顎関節症になるとは限らない」ということが言えると思います。

以上のように、噛み合わせの悪さと顎関節症との間に、直接的な因果関係が無いと述べましたが、これは、単なる私の推測ではなく、世界中の多くの研究者が導き出した結果でもあります。

もちろん、不正咬合と顎関節症との間に、直接的な因果関係が無いからといって、噛み合わせをいい加減に考えてよいというわけではありません。噛み合わせを治療すると顎関節症がよくなる場合もあるという事実から考えて、悪い噛み合わせが顎関節症の補助的な原因である可能性があります。つまり、不正咬合を放置すると顎関節症にかかりやすくなる可能性は低いですがありえます。また、不適切な虫歯治療や矯正治療が引き金となって、将来、顎関節症にかかりやすくなる可能性も否定できません。


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